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2016年10月24日月曜日

帳簿の世界史


最近のドトール会ではFintechが連続してお題になっていました。
お金にまつわる最先端の話題だったわけですが、その流れに逆行して
帳簿、つまり会計がどのように発生し、現代に至ったかという本を取り上げてみます。

簿記を勉強したことがある方ならご存知のことですが、簿記には「単式簿記」と「複式簿記」があり、
単式は家計簿のような単純なもので、業務で使用するのは複式の方です。
(だいぶざっくりな説明です。興味がある方は是非3級を勉強してみてください)

単式簿記はそれこそローマ帝国の時代から存在していたそうで、つまり紀元前から帳簿の原型はあったのですが
複式簿記が生まれたのは12〜13世紀のイタリアとのこと。そこから少しずつ欧州全体に、そして海を超えて
アメリカやアジアへと、洗練されつつ普及していきます。

本の中ではルネサンス期イタリアからフランスのブルボン朝、産業革命期のイギリス、独立後のアメリカへと
時代を追って会計の歴史を紹介していますが、以下のようなパターンがひたすら繰り返されます。

  1. 権力者が、初期のうちは財務の健全化を重視し、優秀で誠実な人間に会計を担当させる。
  2. ザル会計による赤字報告を嫌がり、財務担当者を罷免。もしくは財務担当者が死没して業務が停滞。
  3. 会計のブラックボックス化、政体の崩壊へ。

例外は東インド会社設立前後のオランダ*1くらいで、基本はこれです。
細かい報告と、それをする人が煙たがられるのは、今も昔も変わらないと思います。
「重要なのは分かってるから、詳しい人たちだけでやっといて」となるんですね。
数世紀程度では、会計が進歩しても人間は進化しないんだな〜と、この本を読んで改めて実感できました。
IT技術も似たような扱いだなと、エンジニアの自分としては思わざるを得ません。

Fintechで更に会計が加速・複雑化しているわけで、いよいよ専門家以外は帳簿を追うことすら難しくなってきそうです。
ブロックチェーンとか、情報処理を知らない人が聞いてどれだけ理解できるのか…。*2
もうとっくに、人間が紙の書類で処理する分野ではないのかもしれません。



*1: この頃のオランダは株式会社の誕生で、会計の透明化=一定期間ごとの財務報告を株主から要求されたため、簿記を軽視するわけにはいかなかったようです。
*1: 私もまだ理解が相当怪しいですが。


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