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2016年9月5日月曜日

比較文化論の試み


今回のドトール会は「比較文化論の試み」を取り上げました。
だいぶ古い書籍で、初版はちょうど40年前の1976年ですが、私の手元にあるのは第39刷(2013年)です。

読んでみると、昭和40年代に話された内容とは思えないくらい、2016年の今でも目新しく感じるような言葉が随所に見られます。
例えば文中での指摘に「自分がなぜそう考えるのか、という意識が日本人には皆無である」というのがあります。
自分の思考を把握し直そうとしない、つまり自分に疑問を持たないので、自分の考えが普遍的であると思い込んでしまうのです。

それで何が困るのかというと、交渉ができなくなります。
相手の感情や背景を斟酌できず、自分と相手を混同してしまうことになってしまいますので、当然といえば当然です。
「日本人は交渉が下手」という、よくある評価はこの辺りから来ているのかもしれません。

この本では序盤にそういった指摘をしつつ、以後はキリストやイスラムなど、いわゆる一神教の文化を例に出しつつ
一方で日本では同じ場合どうか、などといった比較・分析を行っています。

大学での講義を書き起こしたものなので、話し言葉ですんなり読みやすく、また100ページ未満というボリュームでもあり
会の途中で出た「議論の叩き台に良い本」という意見は、私もその通りだと思います。

一本のテーマに絞った内容ではありませんから、この本に出てきた単語の中から興味の沸いたところを拾っていき、
掘り下げていくきっかけになる一冊かなという感想でした。

最後に、今回のドトール代は1010円でした。

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