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2016年9月28日水曜日

ZERO to ONE

ペイパルマフィアと呼ばれるピーター・ティール氏の本を読みました。
ピーターティール氏つきましては下記、東洋経済さんの記事をご覧ください。
ピーター・ティールとは結局、何者なのか?
技術畑にいる私たちですが、技術のことだけ考えていては限界がきていることは感じております。
著者も作中でうたっておりますが(「おたく対営業」と副題がついております)、
目を見張るような技術(クライアントだけでなく、サーバーも)を使用していても、売れないものは売れないです。

スマホアプリを見てみてください。
ランキング上位は、テレビや駅のホームでよく宣伝されているアプリばかりですね。
ゲームとして優れており、収益が出たから、宣伝量を増やす、という好循環の結果だ、とおっしゃる方もいるかもしれませんが、
広告は強力なツールであることは間違いありません。
広告に限らず、営業やマーケティングなど、どう拡大させていくか考えることが重要かと思います。
著者は「競争企業」と「独占企業」について触れています。
「競争企業」はなんとなくイメージできるかと思います。
今はどこの業界でも価格競争を筆頭に競争が巻き起こり、疲弊しています。

じゃあ独占企業とはどういうことでしょうか?
なんとなく、インフラを握っている企業がそれにあたりそうな気がします。
著者は以下の条件に合致すると独占企業として強い立ち位置を得られる、と主張しています。
  • プロプライエタリ・テクノロジー(自社固有技術)
  • ネットワーク効果
  • 規模の経済
  • ブランディング
そして、これに合致している企業として、アップルが挙げられています。
確かに、と納得してしまいます。

筆者は、「独占企業」は「他社」を気にする必要がそこまでなく、自分たちのやりたいことができる、と主張しています。
よく独占企業には、支配的で閉鎖的、停滞感などがイメージとしてつきまといますが、その逆で、自分たちが「良い」と思ったものをどんどん形にし、イノベーションを起こすことができる、とのことです。
ことアップルだけ見ても、Mac、iPod、iPhone、iPadなど、支配的な地位を築いた後も魅力的な製品を生み出し、さらにファンを増やしています。
そうは言っても、大企業でもないし、独占企業になんてなれない。
そのときの一つの指針として、以下が挙げられています。
  • 小さく始めて独占する
  • 規模拡大
  • 既存産業を破壊しない
  • ラストムーバーになる
要はニッチトップになれということです。
あのAmazonでさえ、当初は本屋でした。
そして相性の良い分野に進出して、今の規模になりました。
また、個人的に興味深かったのは、既存産業を破壊しないことです。
「破壊的イノベーション」などの言葉に代表されますが、技術屋はイノベーションが大好きです。
ただ、既存のものを破壊しようとすると、必ず それを抑え込もうとする敵が現れます。
そうではなく、既存産業とは良きパートナーとしてやっていく方が良い、とのことです。
既に言われていることですが、技術だけで語るエンジニアはAIにリプレースされてしまうかもしれません(実現できるかどうかは別として)。
ただ技術を追い求めるだけでなく、「これをどうやって活用しようか、ユーザー目線だとどうなのか」といった基本的なところから考えられるようになり、
エンジニアだけども経営者や投資家の考えも柔軟に取り入れていきたいと思います。
本日のお会計は、5人で1350円でした。
ありがとうございました!!

2016年9月26日月曜日

10%起業 1割の時間で成功をつかむ方法



一昔前と違い、現在では転職し幾つかの会社を経験することが当たり前となってきています。
特にアメリカにおいては、

「ベビーブーム世代の人々は22歳から44歳までのあいだに平均して3年半に一度の頻度で転職している。」

という統計がでており、さらに、

「ミレニアル世代の91パーセントにおいて、一つの職場に3年以上とどまることはないと予想されている。」

そうです。
アメリカほどではないにしろ、日本でも今後は一つの職場にとどまる期間が短くなり、
より流動的になっていくことが予想されます。

急速な技術の進歩により、安泰だと思われていた業界ですら一夜にして変わってしまう現在、「起業家のように考える」ことこそ、すべての社会人にとって最も重要な能力となりつつあります。


日本の企業は社員の副業を認めない傾向が強いことから、本業を続けながら本書のような10%活動を行うことはなかなか難しいと思います。

本書を読んで感じたことは、一部の特異な人間以外は起業を目指すのではなく、常に学習して自分のスキルを高めながら人脈を広げ、キャリアアップを目指していくことが最も良いと思いました。

2016年9月19日月曜日

人工知能は人間を超えるか

人工知能は人間を超えるか

今回のドトール会は「人工知能は人間を超えるか」をテーマにしました。
人工知能について初心者の私でも面白く読めるように人工知能の歴史を紹介してくれています。
ここでは本書にでてくる印象に残った単語やシステムを各ブームに沿って紹介します。





人工知能のブーム

「推論」と「探索」の第一次人工知能ブーム1956年から1960年代
最初に人工知能という言葉が生まれたのは1956年米国東部のダートマスで開催された伝説的なワークショップで人間のように考える機械を初めて「人工知能」と呼ぶことになった。
ここから第一次人工知能ブームが始まっていく。
有名なのは探索木やハノイの塔

■探索木

探索木とは要するに「場合わけ」であり、こっちに行った場合、あっちに行った場合などで場合分けをする。そしてさらに行った先でも場合分けを行っていき、ゴールにたどり着くルートを探し出す。
※探索木には主に「深さ優先探索」と「幅優先探索」の2種類存在する。


ハノイの塔
ルール
以下のルールに従ってすべての円盤を右端の杭に移動させられれば完成。
  • 3本の杭と、中央に穴の開いた大きさの異なる複数の円盤から構成される。
  • 最初はすべての円盤が左端の杭に小さいものが上になるように順に積み重ねられている。
  • 円盤を一回に一枚ずつどれかの杭に移動させることができるが、小さな円盤の上に大きな円盤を乗せることはできない。
wiki引用

このハノイの塔も探索木で攻略することができる、円盤が移動できるすべての場合を順番に試していくのだ。

■ロボットの実行計画
探索木を使ってロボットの実行計画を作ることができる。これはプランニングと呼ばれる技術である。
プランニングとは以下3つを組み合わせて記述するSTRIPSが有名である。
・前提条件(プリコンディション)
・行動
・結果(ポストコンディション)

■第一次人工知能ブームの終わり
このころの人工知能はいわゆるトイ・プロブレムとよばれる単純な問題しか解決できないことが明らかになってきた。人間の知能をコンピュータで実現することが分かったのが第一次人工知能ブームだった。


「知識」を入れると賢くなる第二次人工知能ブーム1980年代
■コンピューターと対話する
有名なのはイライザと呼ばれる対話システムである。ツイッターのBotなどは「人工無能」とよばれているが根本的な原理は同じであるらしい。衝撃的な事実はこのイライザが開発されたのは1964年頃であることだった。

■エキスパートシステム
ある専門分野の知識を取り込み、専門家のようにふるまうことのできるシステムで1970年代にスタンフォード大学で愛初されたMYCINが有名である。
課題は多くの知識を専門家からヒアリングして知識を取り出すことや情報の管理などで膨大なコストがかかってしまうことだった。

■オントロジー研究
オントロジーとは哲学用語で「存在論」とされている。人工知能の用語としては「概念化の明示的な仕様」と定義される。


is-a関係
犬は哺乳類、イチゴは果物など
part-of関係
手は人間、指は手など

オントロジー研究によって知識を適切に記述するにはどうしたらよいかという問題にたいして2つの流派に分かれた。
・ライトウエイト・オントロジー派
本書では「コンピューターにデータを読み込ませて自動で概念間の関係性をみつけよう」というもの
代表的なものはワトソンと呼ばれる人工知能が紹介されている。

・ヘビーウエイトオントロジー派
本書では「人間がきちんと考えて知識を記述していくにはどうしたらいいのか」というもの

フレーム問題
 フレーム問題(フレームもんだい)とは、人工知能における重要な難問の一つで、有限の情報処理能力しかないロボットには、現実に起こりうる問題全てに対処することができないことを示すものである。
wiki引用

シンボルグラウンディング問題
シンボルグラウンディング問題(シンボルグラウンディングもんだい)とは、記号システム内のシンボルがどのようにして実世界の意味と結びつけられるかという問題。記号接地問題とも言う。 ハルナッド(w:Stevan Harnad)によって命名された。
wiki引用

知識を書ききることやフレーム問題、シンボルグラウンディング問題が大きな壁となり第二次人工知能ブームは終わりを告げた。


「機械学習」による第三次人工知能ブーム

ここから先が本書の面白いところになるのですが、個人的に興味を持った4つの単語を紹介します。
教師あり学習、教師なし学習
教師なし学習(きょうしなしがくしゅう, Unsupervised Learning)とは、機械学習の手法の一つである。「出力すべきもの」があらかじめ決まっていないという点で教師あり学習とは大きく異なる。データの背後に存在する本質的な構造を抽出するために用いられる。
教師あり学習は、その「出力すべきもの」も入力として与えることで教師なし学習になる。
シニフィエ、シニフィアン
シニフィアンは、フランス語動詞 signifier現在分詞形で、「意味しているもの」「表しているもの」という意味を持つ。それに対して、シニフィエは、同じ動詞の過去分詞形で、「意味されているもの」「表されているもの」という意味を持つ。
ニュートラルネットワーク
シナプスの結合によりネットワークを形成した人工ニューロン(ノード)が、学習によってシナプスの結合強度を変化させ、問題解決能力を持つようなモデル全般を指す。広義には誤差逆伝播法を用いた多層パーセプトロンを指す場合もあるが、これは誤った用法である。
ニューラルネットワークは、教師信号(正解)の入力によって問題に最適化されていく教師あり学習と、教師信号を必要としない教師なし学習に分けられる。明確な解答が用意される場合には教師あり学習が、データ・クラスタリングには教師なし学習が用いられる。中間層が2層以上ある深層学習においては、出力に近い最後の中間層を教師あり学習で、それよりも入力に近い側を教師なし学習で学習する方法がジェフリー・ヒントンらにより提案されている。
結果としていずれも次元削減されるため、画像や統計など多次元量のデータで線形分離不困難な問題に対して、比較的小さい計算量で良好な解を得られることが多い。 現在では、特徴量に基づく画像認識、市場における顧客データに基づく購入物の類推など、パターン認識データマイニングとして応用されている

自己符号化器
オートエンコーダ(自己符号化器、autoencoder)とは、機械学習において、ニューラルネットワークを使用した次元圧縮のためのアルゴリズム2006年ジェフリー・ヒントンらが提案した[1]。線形の次元圧縮としては主成分分析があるが、オートエンコーダはニューラルネットワークを使用する。

最後にシンギュラリティは本当に起きるのかという議題についてですが、シンギュラリティとは技術的特異点のことであり、ここでいうと人工知能が人工知能を修繕したり、あらたに人工知能を生み出すことである。本書でも紹介されている一文だが、「完全な人工知能を開発できたら、それは人類の終焉を意味するかもしれない」いわば映画ターミネーターのような世界である。

だが人工知能では生命を繁殖することはできないし、機械であるからには人間のもつ感情も持てないし、人間ならではの他人を思いやる気持ち「絆」と呼ばれるものもつくり出せない。これらは人類の最後に残された武器になると思っている。

しかし人工知能の発達によって我々人間の仕事が減っていくのも事実であることには目を背けられない。今後20年で多くの職業が自動化されていき、人工知能の発達によって職を失う人は少なからず出てくると思っている。私の好きな言葉の一つに「怠惰を求めて勤勉になる」という言葉があるが、人工知能の発展にはさらにその先も考えなくてはいけないように感じてしまった。


本日は計1950円をお支払い致しました。

2016年9月5日月曜日

比較文化論の試み


今回のドトール会は「比較文化論の試み」を取り上げました。
だいぶ古い書籍で、初版はちょうど40年前の1976年ですが、私の手元にあるのは第39刷(2013年)です。

読んでみると、昭和40年代に話された内容とは思えないくらい、2016年の今でも目新しく感じるような言葉が随所に見られます。
例えば文中での指摘に「自分がなぜそう考えるのか、という意識が日本人には皆無である」というのがあります。
自分の思考を把握し直そうとしない、つまり自分に疑問を持たないので、自分の考えが普遍的であると思い込んでしまうのです。

それで何が困るのかというと、交渉ができなくなります。
相手の感情や背景を斟酌できず、自分と相手を混同してしまうことになってしまいますので、当然といえば当然です。
「日本人は交渉が下手」という、よくある評価はこの辺りから来ているのかもしれません。

この本では序盤にそういった指摘をしつつ、以後はキリストやイスラムなど、いわゆる一神教の文化を例に出しつつ
一方で日本では同じ場合どうか、などといった比較・分析を行っています。

大学での講義を書き起こしたものなので、話し言葉ですんなり読みやすく、また100ページ未満というボリュームでもあり
会の途中で出た「議論の叩き台に良い本」という意見は、私もその通りだと思います。

一本のテーマに絞った内容ではありませんから、この本に出てきた単語の中から興味の沸いたところを拾っていき、
掘り下げていくきっかけになる一冊かなという感想でした。

最後に、今回のドトール代は1010円でした。